解説・感想-「どんど晴れ」

横浜生まれの浅倉夏美は、実家の洋菓子店でパティシエとして働いていた。しかし、結婚間近の婚約者、加賀美柾樹の実家の祖母(岩手県盛岡市の老舗旅館「加賀美屋」の大女将)が体調を崩した事から、柾樹は実家を継ぐ決心をする。
夏美も柾樹を支えようと、共に岩手に行き女将の修行を始める。伝統と格式を重んじる加賀美屋の中で、人間関係の複雑さや挫折を経験しながら、夏美が立派な女将に成長していく姿を描いている。

常に前向きで明るく、性善説を根底に行動する夏美は多くの視聴者の心を虜にするのだろう。そんな主人公と正反対に位置しているのが、東幹久の演じる加賀美伸一である。いつか加賀美屋の後継者となるべく、ロンドン留学をするなどして頑張っている。しかしその頑張りは常に裏目に出、本人の思い描く方向とは逆にベクトルが進む。哀れなほどである。

テレビを見ている人はほとんどが主人公の味方だから、この加賀美伸一は常に主人公や旅館を窮地に追いやる、疫病神に見えていただろう(ファンにとってはいつもヒヤヒヤもので針のムシロでしたが)。
愚かで弱い人間・・・東幹久はそういった役を演じるのがとてもうまいと思う。都会派俳優で整った顔立ちの東幹久であるからこそ生きてくる蝶ネクタイにサスペンダー、そしてあの自堕落で情けない自尊心ばかりの男の歪んだ表情。
対極の彼の存在があるからこそ、主人公の明るさ、前向きさが際立ったのだと思う。このドラマは、またひとつ東幹久という俳優の存在感を世に知らしめたのではないかと、ひとり悦に入っている。

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